人材紹介会社が紹介した人物の経歴が全くのデタラメである場合

 ここ最近,人材バンクとか人財紹介などといった職業がもてはやされるようになっている。この点に関する法律の規制もあるにはあるものの,おそらく人材紹介を利用する企業側が予想している法規制とはなっていない。

 人材バンクを利用するニーズはそれぞれ異なるものの,一定の場合,代表者に代わって,会社のマネジメントを行わせるとか,将来の代表者となりうる人財の紹介を希望するという場合も往々にして見られるニーズである。要するに,多忙を極める代表者にとっては,自らの右腕あるいは後継者となる人物を紹介する人材バンクが魅力的に映るようである。多くの人材バンクでは,上記ニーズを取り入れて,顧客となる会社向けに,会社の輝かしい発展のために必要不可欠な人材を紹介するとの宣伝文句を用い,人材バンクを通じて紹介された人物の経歴は,「人材」と呼ぶにふさわしいように,有名会社の管理職を務めていたとか,売り上げを前年比数倍にしたとか華々しい経歴が記載され,紹介されることが多いようです。

 これらの紹介された経歴が真実である場合には,さほど問題が生じることはありません。

 他方で,人材とされる本人が経歴を詐称し,紹介された経歴が全くのデタラメであった場合,利用者の会社側とすれば,年俸の数割程度に達する高額の紹介料(多くの場合は100万円は大きく超えます)を支払っていたのに,紹介された人物の経歴が全くのデタラメなのであるから,紹介してきた人材バンクに対して,紹介料などに関する返還請求ができると考えがちです。

 しかし,上記事例を扱った下級審裁判例では,人材バンクには何らの責任がないと判断している。人材バンクの実務としては,紹介を申し込んできた人物(人材)の職業選択の自由などに配慮せざるを得ず,その経歴について精査する権限もないし,法制度上は,そのような精査をするまでもなく,すぐに紹介するべきであるとされている。つまり,法律上の制度としては,人材バンクで,精査することは許されず,そのため,紹介した人材の経歴が全くのデタラメであっても,人材バンクは責任を負わなくてもよいとされています。また,採否については,ユーザーである企業側が最終的に判断することも理由の一つのようです。

 そのため,人材バンクのユーザーである企業としては,多額の紹介料を支払っているのに,「人材」とされた人物の経歴がデタラメであっても,人材バンクへの責任追及ができず,利用者の意識と法制度が完全に乖離しています。

 いくら,採用するか否かは,ユーザーである企業側に最終的な判断権があるとはいえ,高額の報酬を取得しつつ,紹介した経歴が全くのデタラメであるのに人材バンクが全くの責任を負わないというは常識に反するというべきです。このリスクを避けるためには,人材バンクとの紹介契約書上で,経歴詐称があった場合には一定の責任を負担する旨の契約条項を設けておくなどのリスク回避策も考えられますが、そのような条項修正に応じる人材バンクは少数派ではないかと思われます。

 当事務所では,人材バンクに関する企業側(ユーザー)の相談,契約書作成への助言についても受け付けておりますので,人材バンクを利用される場合には,事前にご相談されることをおすすめいたします。

 

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