金融商品取引法にいう投資者保護と自己責任の原則

 レセプト債とは直接の関連性はないものの,同種の投資被害のときに指摘されることが多い,投資者の自己責任について,金融商品取引法がどのような考えに基づいているかを整理してみます。。

 

 金融商品取引法第1条は,以下の様に,金融商品取引法の目的を規定しています。

(目的)
第一条  この法律は、企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め、金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により、有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にするほか、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする。
 
  要するに,金融商品取引法の究極的な目的は,①国民経済の健全な発展に資すること,②投資者の保護に資することと規定されています。
  ここでいう「投資者の保護」というのは,投資者を守ることとされているものの,そのことは株式や社債の安全性,確実性を確保することによって投資者を不利益から守ろうとする意味ではありません。金融商品取引法では,投資対象の価値にかかわるリスクは投資者が自己責任として負担すべきものと考えているのです。
  例えば,投資した株式の価値が低下するとか社債の償還がなされなくなるという投資をする上でのリスクは投資者が負担しなさいと金融商品取引法は考えています。そのため,投資者が自由な判断と責任で行った行為の結果は,投資者自身が負うべきという「自己責任の原則」が採用されています。
  しかしながら,この「自己責任の原則」が適用される前提として,投資者に対して,事前に株式の価値や発行企業に関する情報が適正に開示されていることが必要です。投資者がそれらの情報を踏まえて,行った投資判断については,自己責任を負担しなさいというのが自己責任の原則であって,どんな投資であっても,投資者が自己責任を負担するべきというのは金融商品取引法における自己責任の原則とはいえません。。
  実際,金融商品取引法では,情報の正確性を確保するために監督官庁が様々な規制を行うという「開示主義」がとられており,金融商品取引法では,自己責任の原則と適合する開示主義を採用しています。開示主義がとられて,正確な情報が開示されているからこそ,その情報に基づいた投資判断については,自己責任を負ってくださいというのが金融商品取引法の基本的な考え方です。このことは,先ほど,指摘した金融商品取引法第1条からも読み取ることができます。
  本件で問題となっているレセプト債については,開示主義の観点から見て,適切な情報開示がなされていたとは到底いえず(むしろ,内容虚偽の情報を意図的に開示していたという事実が認定されています),開示主義の要請を全く満たしていません。それゆえ,「自己責任の原則」の前提である情報開示がなされていないのであるから,自己責任の原則をレセプト債の購入者に問うことは誤りというべきです。
  レセプト債購入者で当弁護団に依頼された被害者の中には,購入したこと自体に自らを責める方も散見されます。しかしながら,実際のところ,レセプト債の購入は,自己責任の原則が妥当するような事案ではなく,正確な情報を開示していなかった発行体,販売証券会社らの責任を問うならばともかく,自らを責める必要は全くありません。騙された人が悪いのではなく,騙した業者が悪いこともまた明白です。
  この点で,レセプト債購入者に対する自己責任論は,「騙すより騙される方が悪い」という詭弁であって,明白な誤りであると考えています。

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