下請事業者を保護する法律

下請事業者における下請法

 親事業者からの不当な買いたたき,下請代金の減額,下請代金の支払遅延,割引困難な手形(長期手形)の交付等の行為等が行われた場合には,下請代金支払遅延等防止法(通称「下請法」)の活用により,親事業者から未払代金の回収を図ったり,契約条件の改善を図ったりすることが可能となります。
 裁判手続が必要ないため,迅速な債権回収を実現できるという利点があります。

親事業者における下請法

 下請業者に発注する親事業者にも下請法は重要な法律です。
 仮に下請法違反があった場合,中小企業庁などから立ち入り調査を受け,下請法違反の事実を改善するよう指導を受けるほか,下請法違反の事実を公表されるなどした場合には,企業イメージを傷つけるなどして,企業の社会的信用等を大きく毀損するおそれがあります。
 そのため,親事業者にとっても,下請法違反を未然に防ぎ,また,事後的にも,弁護士による適切な対応が重要となってきます。

下請法によって親事業者が禁止される行為

受領拒否

下請事業者に責任がないのに,発注した物品・作成物の納期における受領を拒否することです。

 例えば,下請事業者が既に受注部品を完成させているにもかかわらず,自社の生産計画を変更したという理由で,下請事業者に納期の延期を通知して,当初の納期に受領しなかった場合などがこれに当たります。

 

下請代金の支払遅延

 発注した物品等の受領日から,60日以内で定められている支払期日までに下請代金を支払わないことです。

 契約などで支払期日が,受領日から60日を超えて定められていても,受領日から60日目までに支払わなければ,支払遅延に該当します。

 支払遅延が生じている場合には,年14.6%の遅延損害金を支払う義務も負います。

下請代金の減額

 下請事業者に責任がないのに,発注時に決定した下請代金を発注後に減額することです。

 消費税相当額を支払わないことや,下請代金の総額はそのままにしておいて,数量を増加させる行為などもこれに該当します。

不当返品

 下請事業者に責任がないのに,発注した物品・作成物を受領後に返品することです。

 受領拒否との違いは,受領拒否は下請事業者の給付を拒むのに対して,返品下請事業者の給付を受領した後に返却することであり,行為の時点が違います。

買いたたき

 発注する物品・作成物・役務に通常支払われる対価に比べ,著しく低い下請代金を一方的に定めることです。通常支払われる対価とは,同種又は類似したものの一般的な市価です。

 例えば,部品の単価決定に当たって,下請事業者に1個,5個,10個制作する場合の見積書をそれぞれ作成させて,10個製作する場合の安い単価で,1個発注したケースなどがこれに該当します。

物の購入強制または役務の利用強制

 下請事業者に発注する物品の品質を維持するなど,正当な理由がないのに,親事業者が指定する物(製品,原材料,マンション等),役務(保険,リース等)を強制して購入,利用させることです。

 例えば,自社製品のセールスキャンペーンに当たり,各工場の購買や外注の担当部門等を通じて下請事業者に対し,下請事業者ごとの目標額を定めて,自社製品の購入を要請し,購入させたケースなどがこれに該当します。

報復措置

 親事業者の違反行為を公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に,その下請事業者に対して取引数量の削減・取引停止など,不利益な扱いをすることです。

 下請代金の支払遅延,下請代金の減額,買いたたき等の行為も不利益な取扱いに含まれます。

有償支給原材料等の対価の早期決済

 親事業者が有償支給する原材料等で,下請事業者が物品の製造等を行っている場合,その原材料等が用いられた物品の下請代金の支払日より早く,原材料等の対価を支払わせることです。

 例えば,親事業者が,下請事業者に対し,原材料等を有償で支給していた場合に,原材料等を加工して納入するまでの期間を考慮せず,一部の原材料等について,当該原材料等を使用した給付に関する下請代金の支払期日よりも早い時期に下請代金から当該原材料等の代金を差し引いた場合が該当します。

下請法を利用するメリット

公正取引委員会による勧告

 下請法違反の事実が発見された場合には,公正取引委員会が勧告するという仕組みがとられています。

 この勧告については,単なる行政指導で,法的な強制力はないとされています。

 もっとも,勧告された対象企業は,勧告に従った措置をとることが通常で,勧告されたにもかかわらず無視するという企業はまずないといわれています。

 したがって,法的な強制力がないといっても,下請事業者が,わざわざ親事業者に対する裁判を起こして,判決を取得するなどといった手間が不要となります。

下請法違反の調査方法

 下請法の違反については,下請事業者からの申告に頼るのではなく,定期的な書面調査により違反行為を発見する仕組みとなっています。

 そのため,下請事業者から申告があったかどうかが親事業者には分からずに,調査が進められることになり,下請事業者としても,心理的に申告しやすいといえます。

 下請事業者から代金支払請求の訴訟をする場合などと比べれば,格段に使いやすい制度であるといえます。

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